<この記事は 約

敷地内電柱とは

<この記事は 約 25 分で読めます>

たまに耳にする「敷地内電柱」とは?

このページでは、特に電気屋さんの間で耳にする敷地内電柱について、画像入りで詳しく解説します。

電柱ロボ

敷地内電柱について説明するよ!

敷地内電柱とは、お客様の敷地内に建つ、主に電力会社や通信会社が所有する電柱のことをいいます。費用を抑えるため、通常の場合は電線を建物に直接引き込みます。しかし、何らかの原因で建物に電線が取り付けられない場合などに、敷地内電柱が必要となります。また、道路に電柱が建てられない場合などは敷地内に電柱を建てることになり、これも敷地内電柱と呼ばれます。

敷地内電柱と1号柱の違い

電柱ロボ

1号柱は地権者の持ち物、敷地内電柱は電力・通信会社の持ち物だよ!

通常の場合、一般家屋では、建物に電線を直接引き込みます。ここまでが電力・通信会社の管轄で、そこから家屋側は地権者の管轄となります。家屋の引き込み口までが電力・通信会社の管轄の場合は、お客様敷地内であっても電力・通信会社の電柱が建つことになり、これを敷地内電柱と呼びます。

建物側が地中配線の場合は、電線を受け止めるための電柱を敷地内に建てる必要があります。この場合の電柱はお客様が用意する必要があり、お客様の持ち物となります。これを1号柱と呼び、この電柱を境にして、電線も電力・通信会社の管轄と地権者の管轄に分かれる場合がほとんどです。

1号柱について、以下のページにて詳しく解説しています。

1号柱とは

敷地内電柱が必要な理由

ここでは、どんな場合に敷地内電柱が必要になるのか?

具体的な例を基にみてみましょう。

建物が道路から遠い場合

電柱ロボ

敷地内電柱には、建物の負担を軽減する目的もあるよ!

建物が道路から遠い場合などは、電柱から建物までの電線が長くなってしまいます。すると、電線の張力が大きくなり、建物の電線引き込み口(ひきこみぐち)にそれなりの強度が必要となるため、強度の高い敷地内電柱が必要になることがあります。

電線の地上高が不足する場合

電吉

電線の高さが決められているんだね!

電線を建物に取り付ける場合、電圧に応じた建物からの離隔や、道路上からの離隔(地上高)が、道路占用許可基準電気設備技術基準電力会社ごとの施工基準などにより定められています。

一般的に、車道上では5m以上、歩道上では2.5m以上とされることが多いです。(図1)

建物が低かったり、電源側の電柱が低かったり遠かったりすると、電線の高さが低くなってしまいます。(図2) 各種法令で定められた最低地上高を確保するために、高さのある敷地内電柱が必要となる場合があります。(図3)

電線が隣地の上空横断をする場合

電美

電線が隣の家に入っているのだ!

電源側の電柱から建物まで直接電線を張ると、隣の家の敷地上空を電線が通過してしまう場合があります。(図4)

電柱が複数ある場合は、柱間分岐工法(ちゅうかんぶんきこうほう)にて T 字 に電線を張れば、それを防ぐことができます。(図5) 柱間分岐工法とは、電柱と電柱の間で電線を分岐させる工法です。

末端柱などで柱間分岐工法が使えない場合には、敷地内電柱を建てて隣地の上空横断を回避する必要があります。(図6)

この場合、敷地内電柱の強度と電線の距離によって、敷地内電柱に受け支線が必要になる場合もあります。支線の距離(根開き)は、電線の張力などによって変わります。

電線を障害物から迂回させたい場合

電吉

敷地内電柱って便利!

電柱から電線を直接張った場合、植木などに当たってしまう場合もあります。敷地内電柱を建柱し、障害物を迂回することができます。(図7)同じように、車庫の上を通過する電線を迂回することで、鳥のフンが駐車中の車に落ちるのを少なくすることができます。

敷地内電柱の移設費用

ここまで、敷地内電柱が必要な理由について見てきました。敷地内電柱の重要性が分かったところで、気になるのは移設のための費用です。次は、敷地内電柱の移設費用についてみてみましょう。

同じ敷地内への移設

電柱ロボ

移設できる範囲も限りがあるよ!

電力会社が所有する敷地内電柱を同じ敷地内に移動する場合、電力会社によって変わりますが、多くの場合、基本的に費用はかかりません。

移動できる場合でも、電源側の電柱との距離や建物との距離などによって、移動できる範囲には限りがあります。移動できる場合でも、電柱を強度のあるものに変更したり、支線や支柱を追加する場合もあります。これらは、電柱の強度や電線の太さと距離、向きなどをコンピューター上で強度計算することで決められます。

違う敷地への移設

電美

お金だけじゃ移設できないのだ!

電力会社が所有する敷地内電柱を違う敷地、例えば、道路や隣の敷地などへ移設する場合は、当然ながら費用が発生します。電柱に付いている設備などにより金額は変わります。例えば、支線が付いている場合には、別途費用が必要になる、といった具合です。

敷地内電柱の場合、電力会社や通信会社が電柱を所有しているので、工事費の大部分を負担してくれます。それでも、電柱だけの移設で、最低 20万円~35万円くらいはかかります。

敷地内から隣地へ移設する場合

敷地内電柱を違う敷地に移設する場合、電柱工事の費用だけでなく、移設先の地権者の同意が必要になります。例えば、隣の土地に移設したい場合は隣の地権者の同意が必要になります。しかし、自分の庭に電柱が建って喜ぶ人はあまりいないので、隣の敷地に移設できる可能性は低いでしょう。

敷地内から公道への移設

道路や公園への移設なら道路や公園の管理者(国・県・市・町・村などの自治体や私道の地権者)などの同意が、それぞれ必要になります。

民地内から公道への移設は、通行に支障が出るなどの理由で、許可が下りない場合も多いので注意が必要です。許可が下りた場合でも移設のための費用は大きく、場合によっては50万円くらいになるケースもあります。

1号柱の移設

電美

1号柱の移設は全額自腹なのだ!

1号柱は、電力会社の持ち物ではないので、同じ敷地内であっても、移設するための費用は全額地権者持ちです。1号柱の場合も、付いている設備類によって金額が変わりますが、電線類を含まない電柱だけの移設で、だいたい20万円~35万円くらいです。

電力会社や通信会社が所有する敷地内電柱の場合、電柱を所有する企業が工事費の大部分を負担してくれるため、かなり割安となっています。1号柱の場合は電柱代だけでなく、電線工事なども全額負担となるため、非常に高額になり、100万円を超えることはザラです。

地中の立ち上がりがある場合や、高圧引込用の1号柱の場合は、掘削費用や切り替え費用などが加わるため、さらに高額になる場合も多いです。

1号柱とは

敷地内電柱のメリット

ここでは、あまりないと思われがちな、敷地内電柱のメリットをお伝えします。

ほんの少しだけどお金が入る

電吉

そもそも、不動産を持っていないとできない、スゴイことだぞ!

電柱を敷地内に入れると、年間1,500円ほどですが、電柱敷地料としてお金が入ります。わずかな金額ですが、じゃまな電柱を敷地内に入れることで、地域に貢献していることにもなります。

目の前の道路を広く使える

電美

お隣にも感謝されたのだ!

ある程度、敷地に余裕がある場合、目の前の狭い道路に電柱を建てるよりも、自分の敷地内に建てるほうが、よっぽど良い、という話を良く聞きます。理由は、目の前の狭い道路を安全に通れるからです。

狭い道路を通って車で自宅を行き来する際、敷地内に電柱があったほうが、かえって車庫入れもしやすく、自分も通りやすいのだそうです。

周辺住民に感謝される

電吉

電柱と電気はみんなのもの。助け合いが肝心だね!

一般的に、自分の家で使う電気のための電柱は、自分の敷地内に建てるのが慣例となっています。道路が狭かったりしてどうしても困難な場合は、ご近所同士で助け合って敷地内電柱の場所を決める場合が多いです。

また、敷地内に電柱を建てるためには、ある程度の敷地面積と、心の広さ? が必要になります(笑)

敷地内に電柱を入れてくれている人に対して、そこからの電気を使わせてもらっている周辺の住民が、ありがたく感じていることも多いのです。

雷から守ってくれる

電美

突然の雷は怖いのだ!

電柱は避雷針の代わりになり、雷から住民を守ってくれます。電柱や電線が敷地内に入ることで、避雷針としての守備範囲が自宅に近づくことになります。特に、高台に建つ家に住む人や、周りが開けた場所に自宅や畑を構えている場合などは、雷に対して格段の安心感があります。積極的に敷地内に電柱を入れてくれ、という詳しい人がいるのもそのためです。

敷地内電柱のデメリット

それでは、敷地内電柱のデメリットも見てみましょう。

電柱のスペースが必要になる

電柱ロボ

電柱は人ひとりが立っているくらいの幅だよ!

電柱を敷地内に建てる場合、当然のことながら、スペースが必要になります。電柱自体は大きくても直径40cmほどと、さほど大きくはないのですが、歩く動線上などにならないよう、配慮する必要があります。可能ならば、敷地の角に建柱するのがおすすめです。

鳥のフンが駐車場の上に落ちる

電美

歩いてたらピンポイントでプレゼントされたのだ!(実話)

電柱が敷地内にある場合、電線が敷地に近づくため、鳥のフンが敷地のほうに落ちてくる比率が高まります。この場合、腕金(うでがね)と呼ばれる金物を取り付け、電線類をなるべく道路に張り出すことで、被害を最小限にすることができます。

また、腕金にトゲトゲの付いた鳥避けカバーや、鳥が止まりにくくするナイロンラインなどを取り付けることで、より効果的に鳥のフンを防げることがあります。いずれも、電力会社や通信会社に相談すると無料で取り付けてくれる場合が多いです。

敷地内電柱の鳥害について、まずは所轄の電力会社に相談してみると良いでしょう。

敷地内電柱の移設にかかる日数

電吉

1年以上かかることもあるんだね!

ここでは、敷地内電柱の移設にかかる時間、日数、期間などをみてみましょう。

一般的に、特に問題のない場所ならば、電柱の新設は1~2時間ほど、撤去も同様となります。問題となるのが、電線類が移設されるまでの期間です。

移設工事の場合

電柱ロボ

業者間の調整が大変なんだ!

電柱が建ってから電線工事が始まるまで、早くても10日、通常は1か月以上かかります。

さらに、電柱に電線以外の通信線などが付いている場合、通信業者との日程調整が必要で、これをしないとバッティングしてしまい、工事することができません。電線工事が終わっても、すぐに通信線の工事に入れるわけでもないので、そこから1~2か月ほどかかるのが普通です。

NTTやケーブルTVなどのように、通信線が複数あった場合、それぞれの通信会社の間で日程を調整するため、電線類の移設がすべて終わるまでに早くても2~3か月、場合によっては1年間以上かかることもあります。

古い電柱の撤去(抜柱)工事はその後ということになります。

元位置建替え工事の場合

電吉

電柱屋は同じ現場に3度行く!

電柱を元の位置のまま新しい電柱に交換することを、「元位置建替え工事」といいます。電柱には電線類が付いているため、そのままでは交換できないので、一度違う場所に仮の電柱(仮柱)を建てて、そちらに電線類をすべて移設し、素柱(すばしら:電柱に何も付いていない状態)にしてから古い電柱を新しい電柱に交換する必要があります。

その後、仮柱から新しくなった電柱に電線類を戻し、素柱になった仮柱を撤去すれば、元位置建替え工事が完了します。

元位置建替えは、電線類を2回にわたり移設します。そのため、元位置建替え工事の場合は単純な移設工事に比べ、倍くらいの期間がかかるのが普通です。

すぐに電線工事が始まらないのはなぜ?

電柱ロボ

停電しないように、スゴイ技術を使ってるよ!

新しい電柱が建ってから、電線類をその電柱に移設するのですが、電柱が建ってもすぐに電線の工事は始まりません。なぜなら、電柱が建たないと電線工事の段取りを組めないからです。

停電させることなく作業するため、無停電工法の設計から始まり、数百m のバイパスケーブルを準備したり、仮の変圧器を準備したりと、電気工事の段取りは非常に複雑です。

電柱も、実際に掘ってみたら埋設物があって建てられなかったりします。その場合、電線工事を前もって準備していたとしても、すべての材料が変更になってしまいます。

電線類もその現場用に切ったりすると、もうほかの現場では流用ができなくなりますし、埋設物などの影響で電柱の位置が少し変更になった場合も、材料が変更になってしまいます。そうした事態を防ぐため、電柱が確実に建って、初めて電線工事の段取りを組めるのです。

終わりに

電柱も電線も道路もみんなで使うものです。なので、様々な手続きや承認作業を経て工事が進みます。電柱1本の移設でも、延べ数百人の人員が動いているため、時間も費用もかかってしまうのです。

電柱を移設したい場合は、所轄の電力会社や通信会社に早めに相談しましょう!

電柱工事  ~ 建柱工事の流れ ~

1号柱とは

レンタル電柱 始めました!

>ホクエイ電設は地域と共存する会社です

ホクエイ電設は地域と共存する会社です

地元千葉に50年、ホクエイ電設は地域に根付いた会社です。平時はもちろんのこと、事故や台風などの災害時に街の電力を守ることも、私たちの大切な使命であると考えています。

CTR IMG