どうも。ずっとマスクを付けているので鼻毛が大変なことになっているへなちょこです! ようやく暖かくなってきた最近、蔓延防止措置も解除され、GWあたりはどこかへ出かけられるのかなあ?とか思っています。
でも自粛の反動で観光地などは物凄く込みそうな予感! 山とか海って休みになると人が増えるけど、地元の大きなショッピングモールほど混むわけじゃないし、空気もキレイだしぜひ行きたいですねえ。 あれ。今思い出したけど、そういえば以前、伊豆諸島に電柱工事で行ったなあ・・・。
そんなわけで、今回はコロナ渦の前となる2017年9月に電柱工事で行った伊豆諸島・式根島の様子を書きたいと思います!
伊豆諸島・式根島とは?
今回紹介するのはここ! 伊豆諸島・式根島。
式根島は東京・竹芝桟橋より171km南に行ったところに浮かぶ、530人ほどの島民が暮らす周囲12kmほどの小さな島。こんな南なのに東京都というのが不思議。まあ、千葉県の銚子も茨城県よりも遠いので気にしない。
電柱屋が式根島に向かった目的はただ一つ。電柱工事だ! (電柱屋だからねw)
なんでも、携帯電話の電波を増強するための基地局を新設するとのこと。基地局の電波状況を改善することにより、平時の通信改善はもちろん、台風などの災害時にも通信の安定化が見込めるとのこと。ホクエイ電設からは2名が向かうことになった。
そんなわけで2017年9月のある日、我々は式根島への船が出航する東京の竹芝桟橋へと向かった。そこで早くも問題発生。
今回、元請けの方がものすごく段取りの良い人で、船旅になるということで事前に船酔い防止の酔い止めを受け取っていたのだが、連れの社員が竹芝桟橋まで来るまでに電車酔いしてしまったのだ!
船の前段階の電車で酔ってしまうとは・・・。一抹の不安を抱えつつ船へ向かう2人。
いざ、さるびあ丸に乗船
竹芝桟橋から式根島へは東海汽船の大型客船「さるびあ丸」で向かう。さるびあ丸は総トン数6,099t、全長118mの大きな船。旅客定員は1,343人なので、今回向かう式根島の全島民のなんと2倍以上が乗れる大きさ。う~ん、ワクワクが止まらんぞ!
乗船したさるびあ丸にはレストランをはじめ、売店やシャワーなどありとあらゆる設備が整っており、さながら動く街のようでチョ~快適。ここで暮らしたい!住まわせて下さい!(切望)
出航してから30分ほどは東京湾の中を進んでいるのだが、三浦半島を過ぎたあたりから急に波が高くなってきた。外海に出ると、こんなに大きな船だというのに船全体がかなり揺れる。今日の波の高さは1.5mとか言っていたけど、体感上は波の高い部分と谷の部分の差を差し引くと倍の大きさ。3mほど上昇し同じだけ下がる状態が、乗っている間中ずっと続く感じだ。
式根島までは、伊豆大島・利島・新島を経由し、最短で9時間かかる。今回予約した客室はもちろん水面下なので、窓からの景色は望めない。周りの景色が見えない状態で船酔いしない時間は10分間程度。それ以上は確実に船に酔ってしまうので、眠くなるギリギリまで景色の見える場所で過ごすことに、今、決めた!
伊豆大島に寄港
朝方になり大島に着岸。大島はその名の通り7,000人近くの島民が暮らす伊豆諸島最大の島。大きいだけあって遠くからよく見えるんだけど、来ると意外と時間がかかるのね・・・。仕事じゃなかったら途中にある全部の島に降りて周ってみたい!
船首に行ってタイタニックのポーズ(両手を広げたアレ)をしたかったけど、さるびあ丸は船首に行くことができなかったので諦めた。意味はないけどやってみたかったの!
眠気が船酔いを超えてきたところで船室に潜り仮眠することに。結構揺れるのだが、慣れるとその揺れが逆に快適に感じたほどぐっすりと眠れた。というか、むしろ揺れてないと眠れない体に。もうここに住んじゃおうかなあ。
前日の23時頃に竹芝桟橋を出港し、式根島の野伏港に到着したのは朝の8時頃。船員の皆さま、本当にお疲れ様でした!
式根島に到着
竹芝桟橋を出発して9時間、ようやく目的地の式根島に到着した。船室で寝ていた時間は2時間半ほど。あれ。新島どこいった!?
野伏港は新島との間にあるため、荒天時にも接岸できる確率が高いのだとか。確かに、外海と違って湾内のように波が穏やかだったなあ。
右も左も分からない(いや、分かるけど)港で船を降りる。チョー心細い。すると、そこに元請けの方が来てくれた。ありがたい! すかさず付いていくヘタレ社員2人組。そこで目にしたものは、アウトリガーが収納できなくなった建柱車だった・・・!
幸いにも港から現場までの距離は1kmほどと、歩きでも20分ほどで着く距離。前後で誘導してもらいながらアウトリガーが出たまま自走して現場に向かうことになった。ちなみにこの故障、帰って来て修理に入れてから分かったのだが、アウトリガーがわずかに曲がっていたとのこと。どうやら船で運ぶ時にアウトリガーを出して捕縛してきたようで、垂直方向に強いアウトリガーは横荷重には弱く、荒波を越える船の揺れと建柱車の自重に耐えられなかったようだ。
建柱作業開始
何とか現場に着き作業開始!砂地に砂岩が混じっていて真っすぐに掘れないので、根気よく人力で砂岩を崩しながらの掘削となった。
多少てこずったとはいえ、あっという間に作業は終了。文章もたったの3行だ!
式根島を散策する!
一応、夕方まで掛かっても大丈夫な日程を組んであるため、今夜は予約してある旅館に泊まり明日の便で帰ることになっている。今は午前中なので、旅館に行くにはまだ早い。まあ、観光したいのもあって急いで建柱作業を終わらせたというのもあるが。そんなわけで島内散策だ! もう、ここからが本番。時間に余裕があるっていいなあ。
島宿「恵美寿(えびす)」到着
小さい島だけあって、かなりゆっくりと歩いたにも関わらず、島宿「恵美寿(えびす)」まであっという間に到着。連絡すれば港まで迎えに来てくれるとのことだったが、歩いても苦にはならない距離。ここまではレンタサイクルすら必要ないのでは・・・?
食べるのに夢中で肝心の食事写真を撮り忘れた!けど、良質な漁場が近いこの島の食事が素晴らしかったのは言うまでもない。googleの口コミで見れるから参考にしてほしい。
式根島半周の旅
翌日、竹芝桟橋への帰りの船が来るのは午後。なので、昨日に引き続き今日も式根島を散策する!google先生に聞いてみると、式根島の半分ほどは遊歩道となっているらしい。これは行かねば!
有名な景勝地として、島の西側に神引展望台というのがあるらしい。早速向かうことにした。
展望台があるくらいだから自販機くらいはあるだろう、という我々の淡い期待は完全に裏切られることに。何しろ、島の西側には原生林が広がり、自販機どころか電気すら来ていないのだ。2人とも飲み物持ってきてないぞ!
神引(かんびき)展望台は新東京百景に選出されている景勝地。付近の障害物が少なく、標高のわりに見晴らしが抜群。小さい島だけに、絶海の孤島感がいい感じだ!
海面から80m以上あるという崖の上から下をのぞくと・・・。あっ。ウミガメが泳いでる!
式根島の標高は高いところでも100mほどなのだが、まるで標高2,000mを超える高山のような風景の岩場が続き、下草が少ないため見晴らしが良いのも特徴の一つだ。すぐそばに唐人津城(とうじんづしろ)という、砂漠のような開けた場所がある。名前からして城跡かと思ったよ・・・。
林の中の遊歩道を30分ほど歩いた頃だろうか、ここでまたトラブル発生。実は、宿を出てすぐに靴底がパカパカしてるなあ、なんて話ながら歩いていたのだが、履いてきた靴がついに壊れて靴底が剥がれてしまったのだ! 今回履いてきた靴は、10年ほど前に買ってたまにしか履いていなかったもの。どうやら、靴に使われている接着剤は古くなると接着力が低下してしまうらしい。そういうことは早く言ってよ! しかし、このタイミングで壊れなくても・・・。
たまたま(?)誰かの落とし物なのか、木の枝にタオルが引っ掛けてあったので、それを拾って応急処置して歩くことにした。が、このタオルも風雨に晒されてたみたいでボロボロ。しかも、もう片方の足は靴底がないから、靴下だけで歩いている状態。上辺だけは靴を履いているように見えるところが逆に悲しい。
枝に引っ掛かっていたタオルで応急処置したが歩きづらいこと、この上ない。あ。壊れた靴底は自宅までしっかりと持ち帰りましたよ、ええ。
島の周囲は至るところから絶景が拝めるのだが、悲しいことに足元の状況からしてそんな場合ではない。それはそうと、この島に靴屋さんって存在するのか・・・?
この「ネコネ場所」というのは、地元の人が何かで使うのか?結構な高低差を下って海岸まで出られる道とのこと。詳しくは下った人のブログからどうぞ。
遊歩道を進み、命からがら生活道路へと生還するヘタレ社員2名の先に、何かの穴が見えてきた。これが有名な「湯加減の穴」だ。地下の温泉源とつながっていて、目的の温泉が適温かどうか分かるらしい。なんか、道路わきにぽつんとあるので、乗り物に乗っていたら通り過ぎそうだぞ。
湯加減の穴というくらいだから温泉の温度が分かるのかと思いきや、地元民が言うには意外とあてにしていないそう。表示がないけど、島内にはこのような穴がいくつか存在するみたい。
無事(だったっけ?)散策を終えて島宿に戻り、急いで帰り支度をする。帰ってきてから気づいたけど、島宿のクローゼットの中にジャケットを忘れてきてしまった。散策で暑くなっていたので気づかなくても仕方がないよね(いや、さすがに気づけよ・・・)
東京の竹芝桟橋へ向かう帰りのジェット船が出る時刻は14:05なので急いで港へ。もう少し時間があれば、他の場所もゆっくりと巡ってみたかったなあ。
今回行けなかったおススメスポット
式根島には主に4つの温泉があり、そのうちの3つは露天風呂で24時間いつでも入れるうえ無料!(入浴には水着が必要なので、式根島に行く人は水着を持って行こう)
- 式根松島(しきねまつしま)
日本の白砂青松100選に選ばれている景勝地。風光明媚で名高い宮城県にある有名な松島になぞらえて呼ばれているそう。塩風が強いうえ保水能力の乏しい地盤が多く木々には非常に過酷なこの島において、島の人々が守ってきたおかげで樹齢150年のものもあるとか。
- 泊海水浴場(とまりかいすいよくじょう)
式根島のパンフレットなどでこの海辺の写真がよく使われている。海水浴場を岩がぐるりと囲む入り江になっていて、透明度の高い海と合わせて抜群の雰囲気を持つ海水浴場だ!
透明度の高い海が眼下に広がるほか、新島、三宅島、神津島などが見渡せる絶景スポット。
かつて島の生活を支えてきた井戸。まいまいずはその名の通りかたつむりのことで、螺旋を描きながら下って行った最深部をさらに掘り下げた形状からその名が付いたとされる。島内を散策しても川が一つも見当たらなかったので、式根島で真水を得るまで相当に苦労を重ねたのだろうと推測される。
- 高森灯台(たかもりとうだい)
式根島の北側の小高い山に、1年中灯をともしている高森灯台という灯台がある。
これは、島の老婆(宮川タン)が自分の私財を投じて作り上げた尊い灯であり、島の漁師の安全と島の沖を通る漁船の安全を願って作られたもの。
タンさんは新島生まれの新島育ち、明治12年新島にコレラが発生し数多くの島民が亡くなるも、タンさんはお寺のお上人さまに救われ一命を取りとめた。
その後、式根島に移り住んだタンさんは今まで世話になってきた人々への感謝の気持ちと、お寺への恩返しの意味を込めて、島の人々が安心して漁に出られるよう、家族が安心してその帰りを待つことができるようにと灯台を作ることが長年の念願だった。
当時タンさんは75歳で、灯台完成までの5年間は高森山の上で生活した。それから91歳に他界する2、3年前まで、杖を片手に油を持って200段もの階段を毎日1日も休まず昇り降りし、灯台の灯を灯し続け、その後は家族の人たちによって続けられた。
タンさんの島の人々を想う熱い心は、現在でも式根島の人々の心の中に暖かい一筋の灯をともし続けられている。(参照元)ちなみに、この実話を基に「小さな島の小さな星」という童話も作られている。
さらば式根島
式根島は小さい島だけど、上に例として挙げた場所以外にも見どころがたくさんある。この短い期間で式根島の魅力を語りつくすのはとても無理! 今回の工程のうち、行きの船内で1泊したので、島内で過ごしたのは実質1泊2日だ。しかも準備なども含めると半日は仕事に割いている。まあ、仕事にきたんだけどね(笑) 式根島に来る場合、1日目で島の西側、2日目で島の東側というように周るのがよさそうだ。もう少し滞在したい・・・。そんな思いとは裏腹に、帰りのジェット船の時間が迫ってきたので港で乗り込むことにした。
帰りのジェット船「セブンアイランド」は3800馬力エンジン×2機搭載、合わせて7600馬力。これは通常のワンボックスカーおよそ50台分のパワーだ。港を出航した高速ジェット船は見る見るうちに速度を上げ外洋へ。下の動画では時速75kmほど出ているが、最もスピードに乗った場所では時速85km出ていた。所要時間は2時間20分ほどと、千葉から館山まで下道で行くよりも早いんじゃない?
今回見てきた式根島は非常に小さい島なのだが、見どころがたくさん凝縮されていて魅力あふれる島だった。何度か行ってみたいと思わせてくれる素晴らしい島、それが式根島だ。 それと、履いて行く靴には十分に注意しよう!
2代目さるびあ丸の退役後
ちなみに、今回、式根島に向かう行きの船旅でお世話になったさるびあ丸は1992年に就航した2代目で、2020年に就航した3代目が現在(2022年)使われている船だ。2代目さるびあ丸は東海汽船での運行退役後、現在はバングラデシュ(さるびあ丸は現地ではBay One、ベンガル語でএম ভি বে ওয়ানと呼ばれている)にて、チッタゴン~セントマーティン島を結ぶ定期航路で活躍中とのこと(シャーアマーナト 国際空港そばのカルナプリー川にあるWater Bus Terminalから出ている)
28年間という長年にわたって伊豆諸島の人々の暮らしを支えてきた、2代目さるびあ号の現在の活躍は以下の動画より
退役後にバングラデシュにて活躍中のさるびあ丸船内には日本語の標識類が付いたままになっている。
また、旅客用に改修し2000人が乗れるそうで、バングラデシュでは割と高級な部類に入るとのこと。景勝地に向かう外国人向けの観光船って位置付けなのかも。
もうすっかりさるびあ丸の虜。すてきな旅をありがとう!
当記事はコロナ渦前となる2017年に行った時の記事です。現在は式根島の受け入れ状況なども当時とは大幅に異なります。式根島には大きな病院がありません。島民の生命と生活を守る意味でも、体温を測り健康状態を確認し消毒用品一式を携帯するなど、万全を期したうえで宿泊先を確保してから行くようにしましょう。また、コロナ渦における状況は刻一刻と変化するので、式根島の最新情報を常にチェックし事前に十分な準備を行い、式根島役場や観光協会の指示に従って行動するように心がけましょう。