近年、多発する大規模災害。 地震や台風をはじめとする災害時の備えとして、防災訓練を行う自治体が以前より増えてきました。 最近では、道路に大きな穴が開いて車や建物が落ちる災害が日本各地で起こっており、その穴に電柱も落ちてしまう事案が発生していることから、本物の電柱を用いた防災訓練を行う必要性が高まってきています。
しかしながら、本物の電柱を防災訓練で使う場合、使用後の電柱の処分に困ります。 今回は、ホクエイ電設で取り扱っている「レンタル電柱」を使うことで、電柱の購入代金と処分費、運搬費やマニフェスト取得などの費用や手間を大幅に削減できました。
そんなこんなで今回は、本物の電柱を使った、東京都大田区で行われた防災訓練のようすをお伝えします!


防災訓練の場所
防災訓練の場所は、東京湾に浮かぶ人工の浮島である「京浜島」。すぐ隣に羽田空港を望む好立地に、この島はあります。 これだけの島を作っちゃうほどの土をどこから持ってきたのか・・・。
作業開始までまだ時間があるので、間近で離着陸を見れる絶好の穴場ポイント(もうホント真横!)で絶景を満喫。 ちなみに、飛行機を見てたらキムタクのドラマ「GOOD LUCK!!」が観たくなったので帰ってから観たのはナイショw
京浜島唯一のコンビニ


作業の時間が近づき まずは腹ごしらえを、と思い、近くのお店を検索してやってきました、この島唯一のコンビニ、京浜ショッピング。 なんか、街にある老舗不動産屋の玄関みたいで、入って良いのか躊躇する入口だぞ。 看板の「うどん・そば」の文字がなかったら、たぶん入らないよね、これ (笑)


立ち並ぶ自販機でお茶を購入。 壊れた自販機が混ざっているところなんか、もうすごく昭和で良い雰囲気! 朝早すぎたのか、残念ながら食堂は準備中だったので、軽食(チーズささみとポークフランク)を購入。 食べながら口コミを見てみると、「おにぎりは鮭と梅のおにぎりを買ったが、タラコと梅が入っていたw」とあった。大丈夫かここ (笑) でも、この場所と時間で温かい食べ物が手に入るのはありがたい限り。 京浜島に行ったらぜひ立ち寄ってみよう!
防災に力を入れている大田区




今回の防災訓練は、「大田区土木部防災機材センター」で行われることに。 羽田空港を擁する大田区には航空関連の産業が数多くあるし、多摩川河川敷や大田市場などの名所もたくさん存在し、人口も多い。 そのため、防災にものすごく力を入れているのが大田区なのだ!
防災訓練の準備
さて、ここから作業開始! 今回の防災訓練の想定は、流れ出した土砂が家屋を押し潰し、倒壊した電柱が家屋に倒れかかっている状況で、電柱と土砂を撤去して倒壊した家屋の中の生存者を探す、というもの。 (後に付近で火災も発生する想定)


まずは防災訓練の準備です。 流れ出した土砂を大量の土のう袋(300個)で再現するため、THE☆人力!で積み上げていきます。

土のう袋300個では全然足りないので、今回は大きなU字溝を逆さまに置き、その上に土のう袋を積み上げることによって、土砂の量を嵩上げしています(大田区の職員さんのナイスなアイデア!)
続いて、倒壊した電柱を配置していきます。



土砂と倒壊電柱を倒壊家屋の隣に配置し、その上に土砂崩れで倒壊した他の家屋の構成木材が積み重なった状況を想定。 倒壊家屋の組み立てもその道のプロたちが行うのであっという間でした (笑)
今回使用した材料
今回使用した材料はこんな感じ
- 倒壊電柱・長さ4m(本物の電柱を切断したもの) 重さ 約 500kg × 3本
- U字溝・800mm × 800mm × 2,000mm × 2本 重さ 約 960kg × 2本
- H鋼・150mm × 150mm × 2,000mm × 1本 重さ 約 100kg
- 土のう袋 300個
- 倒壊家屋の木材 たくさん(倒壊家屋チームにて準備)
- 倒壊家屋本体(倒壊家屋チームにて準備)
使用した車両
今回活躍した車両は以下の通り。
- 3t建柱車(積み下ろし用)
- 3tユニック車(電柱運搬用)
- 4tダンプ車(土のう袋運搬用)
- 2tダンプ車(U字溝運搬用)
昼食のとんかつ屋がヤバかった
初日はここで終了。 再び羽田の離陸を見た後、近くのとんかつ屋さんで昼食をとることに。
やって来たのはここ、「とんかつ 和紀(かずき)」。
一見すると、とんかつ屋など何も無いような場所に、その店はあった!
早速、エレベーターで「とんかつ和紀」さんのある4階へ。 そこで目にしたものは・・・!


店に近づくにつれて増えてゆく、数々の「ヤバみ」なモノたち。 これはこのビルの他の階の会社さんから苦情が来ないか心配になるレベル (笑)


メヌー(メニュー)表から、特上ヒレかつ定食(160g)1,300円を注文。 メニュー表を良く見ると「変な夢をよく見る」とか「立地がヤバみ よく見つけましたね」とか書いてあるし (笑)
しかし、そんなヤバみな雰囲気からは想像できないような? 美味しいとんかつが出てきたのが驚き!
美味しいのも納得、ここは、とんかつの聖地・目黒で「とんかつ御三家」とも呼ばれる有名な「とんかつ 大宝」の、なんと創業者のご子息が経営するとんかつ屋さんだった! とんかつ大宝さんは、有名人(関根勤さんなど)も通い、食べログでとんかつ100名店を5回受賞しているほどの名店。 かつて多くのとんかつ職人がここで修行して独立、数々の有名とんかつ屋を排出したことで知られる、創業40年を超える正統派のとんかつ屋さん。
第六感を使って揚げている?とのこと (笑) 近くまで行ったら、ぜひ寄ってみよう!
防災訓練当日
ついに、防災訓練当日。 大田区職員をはじめ、警察官やメディア関連の方々が見守る中、消防隊と自衛隊が入場、全員がキビキビした動きでカッコ良い!





大田区を火災から守るために一糸乱れぬ訓練風景を見せていただいた、消防隊の方から話を伺うことができました。
都内の消火栓はおよそ400mごとにあります。 消防車1台にはホースが400m分くらい積んであるので、消防車と消火栓を合わせればすべての現場を網羅できるという考えに基づいて運用されています。
30kgを超えることもある、水が残った消化ホース。 これを担いで、重くて動きにくい防火服を着て真夏にダッシュするのもなかなか堪える作業です (笑)
ホースには主に口径50mmと65mmのものがあり、50mmのものは取り回しがしやすいという利点があります。 65mmは大量の水が送れる反面、取り回しに難があるほか反動が大きいというデメリットが。
どちらのホースも反動で隊員が吹っ飛ばないように、ポンプ側で圧力を調整しています。 圧力にもよるが、送水できる水量は、1分間に500~600リットルくらいです。






消防隊と自衛隊が共同で防災訓練を行う機会はあまりないとのことで、今回のような合同訓練は貴重とのこと。 以下は自衛隊の方に伺ったお話です。
災害が起こった現場に実際に行ってみて困るのは、指揮系統がバラバラなことです。 現状では、救急隊・消防隊・警察隊・自衛隊の各隊が現場の状況に応じて、優先順位を決めて作業に入ります。
もちろん、人命第一ですので、多くの場合で救急隊員の活動が優先され、次に消防隊員となり、自衛隊の活動は最後になる場合が多いです。
それぞれの得意な分野を活かすため、各隊を尊重し、協力し合いながら救助活動を行っています。
新たに創設される防災庁で、指揮系統の連携がスムーズになったり、良くなっていくことに期待しています。

テキパキとした動きと見事な連携で、積み重なる障害物をどんどん撤去してゆく自衛隊員。 倒壊した家屋の中に人が取り残されていないか、常に声を掛けながら作業していました。
また、今回の電柱撤去について、限られた時間のなかで行う防災訓練のため、「当初は使う予定だった重機を使えなくなったこと」に対して、自衛隊の方による答えが以下のもの。
現場状況によって、倒木や土砂崩れなどによって、重機の入れない場合が本当に多いんです。
なので、どんな場所でも臨機応変に対応できる人力こそが、やはり最後の砦であり、自衛隊最大の強みだと思います。
そう答えながらスクワットを繰り返していたのは中隊長! (笑)
なお、今回は本物の電柱を使ったことで、リアルな電柱の重さが実感できて良かったとのことでした。
防災訓練の動画
消防隊員500名が参加した、2024年度の大規模防災訓練。大迫力のシーンが盛りだくさん!
こちらは、自衛隊の戦闘訓練。もちろん、日本を守るだけではなく災害時の訓練も行ってますよ!
こちらは2023年に行われた防災訓練の様子。区民の生命を守るため、隊員たちも超本気!
災害などの非常時にも連携がとれるのも、まさにこうした訓練の賜物!
関係者の方々、防災訓練お疲れ様でした!!