どうも。急に暖かくなったので外にジャンパーを置いといたら、その上で近所のノラ猫さんがお昼寝して毛だらけになってしまった(しかもマーキングまでされた)へなちょこです!
電柱工事という特性上、道路を使わせてもらって工事することの多いホクエイ電設では、工事後に高圧洗浄機を使って道路の清掃をすることが多いです。しかし、高圧洗浄機はその構造上から、ポンプ部分に高い圧力(車のタイヤの空気圧の5~7倍)がかかるため、部品の消耗が激しく頻繁に故障が発生したり、メンテが必要になったりします。
今回は、精和産業の防音型高圧洗浄機「ジェットクリーン JC-1513GLB」のプランジャポンプ部分のオーバーホール作業の様子を書きたいと思います。
突然、水を吸わなくなったJC-1513GLB
今回オーバーホールするきっかけとなったのは、高圧洗浄機 JC-1513GLB がある日突然、使えなくなったこと。エンジンは問題なく動作していることを確認。ジェットのノズルから高圧の水が出なくなり調べたところ、給水口から水を吸わなくなっていることが判明。エンジンが動いているのに水を吸わないということはポンプ部、特に逆止弁がアヤシイぞ、というわけで、まずは分解してみます。
古い逆止弁6個を新品と交換
水を吸わない一番の要因と思われる逆止弁を外し、中の弁をそっと押してみたけど、6個とも固着はなく問題ないみたい。通常はこの逆止弁を外して掃除することで簡単に水を吸うようになるんだけどなあ。まあ、念のために購入しておいた新品の逆止弁と交換しておきます。
う~ん、逆止弁の固着を予想していたんだけどなあ。仕方がないので他の要因を探ります。次に考えられるのが自動エア抜きバルブと余水ホース。この辺りでエアの吸い込みがあっていつまでもエアが抜けないのか?と思ったのだけど、これもまた異常なし。シリンダの割れとかもないみたいだから、う~ん、謎。
そんなわけで、ポンプをどんどん分解していきます。あまり考えたくなかったけど、プランジャポンプの3連ピストンの摩耗を疑ってみることになりました。
プランジャポンプパッキン類の摩耗具合を計測
それぞれの部品の摩耗具合を調べるため、外した各部品を測ってみると・・・。
どうやら、ピストン側の摩耗は思ったよりひどくなさそうで一安心。問題は、シリンダの中に組み込まれているパッキン類。
プランジャポンプのピストン周りのパッキンを新品に交換
バラして計測した結果、ピストンと直接触れるV型パッキン(別名 : グランドパッキン)の摩耗が大きく、古いものは新品時よりもおよそ1mm摩耗し減っていました。摩耗はあるけど、水を吸わないほど減っているわけではないのが気になるところ。なお、V型パッキンを押えて広げるパッキングランド(写真の青いヤツ)の摩耗は特に見られませんでした。
プランジャポンプの3連ピストン周りのパッキン類それぞれ3個ずつを新品に交換し、パッキンやOリング類が変に噛み込まないように、スターターロープをゆっくり引っ張りながら(エンジンが掛からないようにスイッチはOFF、カブらないようにキャブの燃料コックもOFFで)シリンダのネジを均等に締めこんでいきます。
ここまでの工程で、逆止弁と3連プランジャポンプのピストン周りのパッキン類をすべて新品と交換。意気揚々と試運転。楽しみだ!
ポンプ本体の故障というまさかの事態に
しかし、やはりというか、なぜかまったく水を吸い込まない・・・。仕方なく、もう一度分解してみることに。
分解してピストンが見える状態でエンジンを始動してみる。すると、エンジン回転は安定しているのに、3連ピストンが動いたり動かなかったりしている。ナニコレ・・・?
ポンプ本体がこういった動きをする要因として、遠心クラッチが繋がらないとか、Vベルトが滑っている、とかが真っ先に思いつきます。しかし、この高圧洗浄機はエンジンとポンプ部が直接つながっている形式のため、ポンプの動きはエンジン回転数に直結するハズ。これは考えにくい挙動だ。まさか、と思いつつもエンジンとポンプ部の接続部分を分解してみます。
エンジンとプランジャポンプの分離
JC-1513GLBでは、エンジンからポンプ部を分離するのにフレームからエンジンを引きはがす必要があります。安全のため、まずはバッテリーのマイナス端子を外し、続いてプラス端子を外してから、エンジンを床面のフレーム部分からはがしていきます。
続いて、ポンプ部と床面フレームをつないでいる台座部分を取り外します。
さらに、エンジンとポンプ部を分離。エンジンとポンプ部は14mmのボルト4本で固定されているのですべて外します。ポンプ部は傾けると徐々に潤滑油が漏れてくるので、ポンプ本体が固定されているうちに裏面側の外しにくいボルト2本から先に外すと、オイル漏れが最小限に抑えられます。
エンジン動力軸のマシンキーの不具合が原因
エンジンとポンプ部を分離すると・・・。ここですべての原因が発覚。なんじゃこりゃあ!
エンジンの動力軸とポンプ側の駆動軸をガッチリと繋ぐマシンキーが外れてとんでもない所にいるではないか! どうやら、前の持ち主か、はたまた修理屋さんか分からないけど、短いマシンキーをタイラップで仮止めし、動作確認後に交換するのを忘れてしまったのか? これではポンプが動くはずがない。
しかし、このマシンキー、削れた形跡もあり少し短くなっている。こんな時は溶接で付けてごまかそう、と考えるダメな大人でした。生きていてごめんなさい。
オーバーホール完了で新品のように高い水圧が復活
水圧が高くなったらホースが壊れた
直った高圧洗浄機を早速現場で使っていた時のこと。
高圧洗浄機「パアァァンッ!! ブシュゥッシュゴバジョバァアァアァァァー!!」
社員一同「!?」
高圧洗浄機「ジョボボォォオー」
どうやら、ポンプ部の圧力が高くなったおかげで、古くなったホースが耐え切れず壊れてしまったぽい・・・。
今回のオーバーホールで購入した部品
今回のJC-1513GLBオーバーホール修理で掛かった部品代は、パッキン代が送料含め約3万円、ガンが約3万円の合計6万円ほど。
ちなみに、今回取り付けた逆止弁とパッキン類は以下のサイトで購入したもの。数量1だと1セットしか入っていないので、今回は逆止弁バルブを6セット、高圧ポンプパッキンセットを3セット購入。
高圧ポンプ逆止弁バルブ(AR Nnorth America)
上記はJC-1513GLB以外にも適合機種が存在します。詳しくはリンク先にて
ガンは「タービンガン(高圧タイプ) ③ 3/8ワンタッチ(メス)」の穴径1.8mmというものを購入
高圧洗浄機の故障に詳しい参考リンク
以下のリンクに精和産業が作ったカラーのカタログに簡易的な故障チャートが掲載されています。それ以外にも、便利な周辺パーツ情報などが載っていて面白いです。
精和産業の公式動画が以下のもの。一般的なトラブルについて説明されています。
高圧洗浄機で不調の原因とか、精和産業の高圧洗浄機の熱問題とか坂道でエンジンが止まる原因などは以下のブログ(精和産業の中の人のブログ)が詳しいです。
精和産業に限らず、高圧洗浄機の仕組みはどれもだいたい同じようなもの。故障に関しては以下のサイトが図解で分かりやすかったので参考までに。
プランジャポンプを違う組み合わせでエンジンやモーターなどに組付けたい場合などは下のサイトが参考になります。