ここでは、電気工事業でよく耳にする「1号柱」について、画像入りで詳しく説明しています。
1号柱について説明するよ!
1号柱とは、電力会社や通信会社などから電線を引き込むための1本目の電柱のこと。引込柱の一種であり、お客様が所有する電柱のことで、構内第1号柱の略です。電力会社側からは先方柱と呼ばれることもあります。
通常の場合は、建物へ電線を直接取り付けますが、建物へつながる電線が地中配線の場合などは、引込み電線を固定するための電柱を、お客様のほうで準備しなければならず、それを1号柱と呼びます。
1号柱と敷地内電柱の違い
1号柱は需要家の持ち物、敷地内電柱は電力・通信会社の持ち物だよ!
通常は、建物の電線引き込み口までが電力会社の管轄となり、その場合は敷地内に建つ電柱も電力・通信会社の持ち物となるため、1号柱ではありません。
また、道路に電柱が建てられない場合などは敷地内に電柱を建てることになりますが、これも電力・通信会社の所有となるので、1号柱ではなく、敷地内電柱と呼ばれます。
あくまでも、お客様敷地内に建ち、なおかつお客様の持ち物であった場合にだけ、1号柱と呼び区別しているのです。
1号柱の装柱材料
1号柱に取り付ける材料を見てみよう!
それでは、一般的な1号柱に取り付けられる装柱材料(そうちゅうざいりょう)を、詳しく見てみましょう。
1号柱に取り付ける装柱材料の役割
いろいろな材料があるよ!
1号柱には様々な材料が装着されますが、それぞれに大切な役割があります。ここでは、材料ごとの役割を詳しく説明します。
軽腕金 1.8m マルヒ
[軽腕金マルヒ1.8m] は、その名に反して頑丈な腕金で、重さは 12.4kg もあり、全然 軽くないのが特徴です(笑)電美の体重はりんご188個分!
地味に重いなw
この腕金の設計荷重として、電柱芯から 50cm の位置において 1.5t に耐えられる設計になっており、上下方向、横方向ともに、強度の高い腕金です。
この腕金に、[高圧耐張碍子] が [ねじりストラップ] などにより取り付けられ、1号柱まで高圧線が引き込まれます。
単相の場合も三相の場合も、真ん中の高圧線(中線)はこの腕金には取り付けず、電柱に取り付けた [強力バンド21cm] の中線引留金物に、[高圧耐張碍子] を取り付けて引き込みます。
柱間分岐で架線する場合を除き、基本的に電源側となる電力柱に向け、1号柱の裏側に取り付けます。
状況により変化しますが、一般的に、1号柱の頭頂部から 25cm~30cm ほど下がったところに取り付けます。
Uバンド 20 cm
[Uバンド (Uボルト)20 cm] は、[軽腕金マルヒ1.8m] の固定と回り止めの両方の役割があります。回り止めとして、[芯ボルト190mm] という部材もありますが、電柱の中にボルトを通して腕金の向きを固定する作りなので、一般的な1号柱ではUバンドのみ取り付ける場合が多いです。取り付ける際は、左右均等に締め付けないと、最終的に腕金の角度がずれる可能性があります。
丸型アームタイ
[丸型アームタイ] は、[軽腕金マルヒ1.8m] の、地面に対する平行方向の受けとして取り付けます。[軽腕金マルヒ1.8m] との取り付け部には [ボルト M-12×120] を使い、電柱側には [コン柱用バンド 21cm(両ベソバンド)] と [ボルト M-12×100] を使い、それぞれ固定します。PAS(開閉器)の反対側に取り付け、開閉器の重さで [軽腕金マルヒ1.8m] が傾かないよう、筋交いのように支える部材です。中線引留金物 と 強力バンド 21cm
高圧線が三相の場合に、中線を電柱に固定するために使います。[中線引留金物] を [強力バンド 21cm] に通し、[中線引留金物] の穴に [高圧耐張碍子] の12cmボルトを通して固定。この碍子に高圧線の中線を張ります。
[強力バンド 21cm] のボルトは、[中線引留金物] と直角になるように付けます。取り付け位置は、[軽腕金マルヒ1.8m] のすぐ上で、腕金にくっつけるようにして装柱します。PAS(気中負荷開閉器)
操作音がカッコいいのだ!
高圧ピン碍子
マラカスみたいなやつ!
いや、牛乳瓶でしょ!
PAS(パス)から出ているリード線(通称:タコ足)を、十分な離隔を確保しつつ腕金に固定するために使います。通常は3つセットで、張力に押される側に取り付けます。[終端腕金 L-1050] の横には3本の赤線が引いてあるので、 [高圧ピン碍子] の溝が垂直になるようにして取り付けます。
[高圧ピン碍子] に似ているものとして、[高圧10号中実碍子] というものもありますが、これは高圧本線の縁回しを固定するものであるため大きくて重く、もちろんお値段も張るため、通常は [高圧ピン碍子] を使います。塩害が心配される地域には耐塩型と呼ばれるものもあります。終端腕金 L-1050
近未来的な名称で草w
取り付ける位置は、上部腕金が電柱頭頂部から 約 1,000mm、下部腕金が電柱頭頂部から 約 1,800mm、となります。
下部腕金が下にずれる分には多少は問題ないのですが、上にずれると上部腕金と下部腕金の離隔が狭くなり、ケーブルヘッド部分の圧着とカバー取り付け、高圧ピン碍子へのバインド止めなどが干渉し、できなくなる場合があるので、上部腕金と下部腕金の離隔が狭くならないよう注意が必要です。
腕金の向きは、地中立ち上がりケーブルやキュービクルの位置により変わりますが、PAS側の後方90度 ~ 斜め後方45度程度に取り付ける場合が多いです。
分岐支持バンド
[分岐支持バンド] は、地中から立ち上がった高圧ケーブルを、電柱に固定しておくためのバンドです。3本に分岐させる前に固定しておくことで、しっかりとした縁回しを形作ることができます。サイズに合わせたゴムを選ぶのだ!
絶縁性のある [ゴムスペーサー] が付いています。[ゴムスペーサー] には、立ち上がりケーブルに応じたサイズがあるので、ケーブルサイズに合わせたものを選びます。
1号柱の向き
電柱にも顔側と背中側があるよ!
多くの場合、1号柱の電柱本体の向きはあまり気にする必要はありません。ただ、電柱には表と裏があるので、人間が通る通路側などに電柱正面を向ける場合が多いです。気にしない場合は腕金の向きを優先し、電柱ごと回してしまう場合もあります。
腕金の向き・方向
基本的に電源側となる電力柱の本柱側に向け、1号柱の裏側に取り付けます。柱間分岐で架線する場合は、柱間の分岐点に向けて装柱します。
支線の向き・方向
1号柱の支線の向きは、基本的に張力のかかる反対側に支線を新設します。難しい場合は、角度が大きくならない範囲で新設することが望ましいです。なお、支線は1号柱から十分な距離(根開き)が必要です。
根枷の向き・方向
支線の代わりに入れる場合は、張力のかかる側に設置しますが、支線のほうがより強い荷重に耐えられます。
通常は電線路と平行に設置して、電柱および電線に横から当たる風圧の曲げモーメント対策として入れる場合が多いです。この場合も、支線のほうがより大きな荷重に耐えられます。
根枷の深さ
1号柱に設置する根枷の深さは、地際から根枷の上部までの深さで、30cm~50cmになるように取り付けるのが一般的です。農地ではトラクターの刃が当たらないよう、50cm以上の深さに入れる場合もあります。
なお、埋設物や道路状況などで取り付けられないこともあります。基本的に、境界をまたいで設置するようなことはしません。
Dアーム装柱
横から見ると大文字のDに見えることから「Dアーム」と呼ばれているよ!
隣地への上空横断をする場合や(図1)、鳥害を緩和する目的があったりする場合、[軽腕金マルヒ1.8m] の代わりに [D型アーム] を使い、高圧線を縦引きにして1号柱まで引き込むこともあります(図2)。この場合は、三相でもすべての [高圧耐張碍子] が [D型アーム] に取り付けられます。
1号柱の財産分界点
白黒はっきりさせるのだ!
通常の場合は、高圧耐張碍子までが電力会社の持ち物(責任・施工管轄)で、高圧線に接続した開閉器の1次側リード線接続部から負荷側が、お客様の持ち物(責任・施工管轄)となります。
開閉器の1次側リード線接続部を、[受電点] または [財産分界点] と呼ぶこともあり、どちらが責任を負うか、などもここを境にして決まる場合が多いため、 [責任分界点] とも呼ばれます。
1号柱の建柱費用
勉強させてもらっているよ!
場所にもよりますが、1号柱の工事費としては、何もないところに電柱の単独建柱で5~20万円、装柱込みでその倍くらいといったところでしょうか(材料・送料等別・もちろん要相談ですが)。1号柱の場合は、電柱と運搬費、材料費のほうが工事費よりも高くつきます。
電柱本体の値段
一般的な1号柱の場合、コンクリートの12m柱を使うことが多いです。電柱本体は 定価で7万円ほど(2024年11月現在)となります。ホクエイ電設では、電柱の工場と直接取引しているので、電柱も定価より安く買うことができます。
1号柱の運搬費
転がったほうが早いって言われるのだ!
1号柱の建柱では、電柱本体よりも輸送費のほうが高くなります。理由は、電柱工場からホクエイ電設までの輸送費が高いからです。当たり前ですが、無料で運んでくれる運送業者さんはいないし、最近は燃料費も高くなっているので致し方ないことです。当然、誰がどこに注文しても、同じくらいの送料がかかってしまいます。
電柱工場から置き場までの送料は、12m柱でだいたい8万円くらいです。さらに、置き場から現場までの送料もかかるので、全体では10万円以上の輸送費がかかることになります。
ちなみに以前、式根島まで電柱を運んだ時の運搬費は、50万円以上かかりました(島だからね!)
装柱材料費
1号柱では腕金などの装柱材料も必要です。1号柱の装柱材料を探してネット上で安く見つかっても数年前の値段で、実際は在庫がなかったりする場合が多いです。問い合わせ数日後に「在庫がありませんでした」という連絡があり、これで困ったことが多々あります(笑)
ホクエイ電設では、超大手卸問屋さんと直接取引しているので、電材屋さんを通すよりも安く仕入れることが可能です。
また、通常は必要な装柱材料の輸送費も、ホクエイ電設では大幅に勉強させていただいてます(笑)
材料の手配もお任せ!
問屋さんと直接取引だから安く買えるよ!
いかがでしたでしょうか? 今回は、1号柱について、詳しくみてきました。電柱1本でも、かなりの材料が必要になることがお分かりいただけたかと思います。
ホクエイ電設では、各卸問屋さんと直接取引しているので、電柱をはじめ、1号柱の装柱材料など、ボルト1本から何でも取り寄せることが可能です。
もちろん、1号柱の建柱・抜柱工事も承ります!
1号柱をはじめ、電柱工事のことなら、何でもお気軽にお問合せください!